ボーナス・トラック
- 作者: 越谷オサム
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/12/21
- メディア: 単行本
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冒頭こそどうでもいい説明が延々と続いて先行きを不安にさせたが、その後は軽い語り口と深刻ぶらない会話が続き、一気呵成に読み終えることができた。ラストに軽い意外性が仕込まれているところも楽しい(但し、それを目当てに読むべき作品では決してないが)。さらに後半、心が暖かくなるような場面がいくつか設けられているのが印象に残った。読者を感動させようとか泣かせようとか、そういう姑息な意図で描かれたものではないと伝わってくるような描き方で、素直に暖かな気分になることができる。
というわけで、辛口のストーリーしか受け付けないという読者以外には広くお勧めできる快作。語り口に無神経な荒っぽさが残ってはいるが、今後洗練されてゆくことを期待したい。