帝都・闇烏の事件簿1

帝都・闇烏の事件簿 (ウィングス文庫)

帝都・闇烏の事件簿 (ウィングス文庫)

大正時代を舞台にした全三巻完結の連作の第一巻。ミステリ・タッチだがミステリと呼ぶのは難しいだろう。
長閑な話と言えば聞こえは良いが、間延びしている印象で、おまけにシリアスに畳み掛けるべき場面に何故かユーモアが挿入されるものだから、緩急無しのストーリーがだらだらと進んでいるように思われてしまう。構成や時代的要素、小道具は面白くなりそうなものばかり採用しているし、振り返ってみるとストーリーがつまらないわけでもないのだから、これはひとえに文章力の問題ではないか。二分の一の枚数で収めてくれれば、出来も数段良くなったはず。
あと、割と濃い目の性格設定なのに、キャラクターが魅力的に感じられないのも謎。薄い膜を通して見ているかのように、迫り来る存在感が感じられない。2巻で多少なりとも改善されていることを期待。