双子幻綺行

双子幻綺行―洛陽城推理譚

双子幻綺行―洛陽城推理譚

兄は宦官、妹は女官。則天武后に仕える15歳の双子の兄妹が七つの謎に遭遇する連作ミステリ。長らく積読状態だったが、こちらもなかなか面白かった。
正直、第二話あたりまでは作者の美質が表れているとは言い難く、書割を読んでいるかのように味気ない感触を覚えたが、徐々に物語としてもミステリとしても面白さが増してゆく。とくに中盤からは宮廷の水面下で繰り広げられる陰湿な権力闘争が本筋と絡み、読み応えたっぷりの展開となった。できれば時間のある際に一気読みしてもらいたい、好感触の時代読物。
ミステリとしては、シンプルなアイデアを上手く意外性に結び付けている第三話「氷麒麟」、二段構えの真相を用意した第四話「菊花酒」が殊に印象的だった。