風刃の舞 北町奉行所捕物控

風刃の舞―北町奉行所捕物控 (時代小説文庫)

風刃の舞―北町奉行所捕物控 (時代小説文庫)

早速読んでみた時代小説書き下ろし文庫。著者は1980年に「昼と夜」で群像新人賞を受賞、81年に芥川賞候補となった後、2000年『血路――南稜七ツ家秘録』で第2回角川春樹小説賞を受賞して再デビューした書き手。
以前、別の文庫書き下ろし捕物帖を読んだ際にも意外に思ったのだが、この作品でも謎を解く過程はストーリーの主眼とはならない。半分まで読み進めないうちに犯人の目星は簡単につき、あとは主人公側と犯人側の闘い(犯人捕縛までの努力と、犯人側の逆襲)が描かれるのだ。この傾向は文庫書き下ろし時代小説特有のものなのだろうか。長編とはいえ、捕物帖でこういう形式のものはあまり読んだことが無い。
楽しく読み進めはしたが、全体的にフラットな印象があり、物足りなさも残った。