バード・ハート・ビート

伊東京一、久々の新作。今回は巨鳥に乗って大空を翔ける少年の冒険物語で、明らかに編集部に無理矢理書かされたと思しかった前作『暗闇天女にご用心』より、遙かに生き生きとした出来栄えになっていて喜ばしい。多少出来過ぎのクライマックスも感動を損なうことなく、一気呵成に読み終えた。光の方向に進む明朗快活なエンタテインメントなので、誰にでもお勧めできる。
ただ……この著者の真の本領は、ダークさが加味されていたデビュー作『BIOME 深緑の魔女』の系統だと思うのである。そちらの方面の新作も読みたいのだが、ファミ通文庫では難しいだろうか……。