聖少年
- 作者: 檀上りく
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/10
- メディア: 単行本
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展開にはどことなく既視感がまとわりつくし(とくにタイトルは何とかならなかったものか)、男性同士の売春行為を描く筆にも現実感が薄いので*2、前半にはとりたてて見るべきところはないけれど、この小説の真価が表れるのは後半なのだ。中盤にひとつ意表をつく展開が用意されており、そこからストーリーは一気に破滅の方向へと突き進む*3。
好みからすれば、もっと私立探偵と主人公の少年との心理戦を読ませてもらいたかったところだし、誰にでもお勧めできる作品では到底ないが、この著者の将来性には注目しておきたい(といっても、略歴によると既に23冊の著書があるそうだが)。少年たち、とくに、引きずり込まれてしまった孤独な少年の痛ましさが印象に残った。