剣と薔薇の夏

剣と薔薇の夏 上 (創元推理文庫)

剣と薔薇の夏 上 (創元推理文庫)

剣と薔薇の夏 下 (創元推理文庫)

剣と薔薇の夏 下 (創元推理文庫)

日本推理作家協会賞受賞作。
前半部における娯楽要素の少なさは、大いに読者を選ぶに違いない。しかし、これは近年稀に見る密度の傑作である。堪能した。戸川安宣(上巻)と法月綸太郎(下巻)、両氏による解説も、この大作を読み解くための素晴らしい磁石になっている*1

*1:余談だが、19世紀末のアメリカを描いた代表的なミステリとしてはケイレヴ・カーの『エイリアニスト 精神科医(上下)』(早川書房)が挙げられる。但し、19世紀末を舞台にプロファイリングが繰り広げられる、という内容でありながら、ミステリとしてより歴史小説として魅力的な作品であったところはやや残念だった。