ALWAYS 三丁目の夕日
- 作者: 山本甲士
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/10/06
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
基本的にノスタルジックなストーリーは好きなのだが、そのストーリーが「昔は良かった」「今を生きる私たちは何か大切なものを失ってしまったのではないだろうか」という色彩を帯びると途端に嫌になってしまう。この連作にもそういう側面が無いではなくて、というか序文にしっかりとそういうことが書いてあって冒頭から幻滅したのだが、我慢して読み進めていたら中盤から単なるノスタルジー話になっていったので心地良く読み終えることができた*2。基本的に善意に溢れた話なのだが、善意を振り翳す嫌味は感じられないし、小さな悪意に対して異様に潔癖だったりすることもない。このあたりは作者の筆力の為せる業だろう。本書自体は斜め読みで充分な内容だが、山本甲士はこういうものも描けるということが判った点がいちばんの収穫だった。