えんじ色心中

えんじ色心中

えんじ色心中

こういう装丁にするなら、カバーは臙脂色にしなくて良かったのだろうか。
それはさておき、『孤虫症』でメフィスト賞を受賞してデビューした作家の受賞第一長編。虫が駄目なので『孤虫症』を避けてしまったため、真梨幸子の作品を読むのはこれが初めて。だからこそなのか、正直この作家がこの作品で何をやりたかったのか(どこを読者に楽しんでもらいたかったのか)最後までいまひとつよく判らなかった。
勢いや迫力を優先させたような文章が性に合わなかった、ということもあるだろうが(言ってしまえば表層的)、現代社会に対する鋭い角度からのアプローチがあるわけではなく、ノンフィクション的な面白さを狙っているとも言い難く、ホラーやサイコ・サスペンスでもなければ、ミステリとして突出した意外性が用意されているわけでもない。強いて言えば文学系に最も近いスタンスだろうが、それならば文章にはもっと気を遣って然るべきだろう。
うーん。