紅玉の火蜥蜴

紅玉の火蜥蜴 (講談社ノベルス)

メフィスト賞受賞作『月長石の魔犬』に続くシリーズ第二弾。放火魔の話。
「お前らが出てこなければこの話は現状の三分の二で終わる」という、徒に話を長引かせるうざったい女性キャラがふたり登場し（こういうキャラって描いていて楽しいのだろうか）、不快感を否応無しに煽ってくれるが、その不快感を除けばそこそこ楽しめた。なぜか「放火魔の話が好き」という個人的趣味もあるだろうが、それなりによく出来ているのではないかと思う。『月長石の魔犬』『迷宮学事件』そして本書『紅玉の火蜥蜴』と、徐々に筆力と完成度が上昇しているのは確かだろう。しかし前述のとおり、相変わらずなのは白々しいキャラクター造形で、こういうキャラが存在しなければ異様に地味なストーリーになってしまうという反論も考えられるが、それならもっと他のところで華やかな作品にするべく努力してもらいたいと思う。
あともう少しで褒められる出来栄えの作品を書いてくれそうな気もするのだが、難しいだろうか。