初桜 青春俳句講座
- 作者: 水原佐保,宮尾和孝
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/06/26
- メディア: 単行本
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北村薫を引き合いに出してこの作品について語っているのをネット上で目にしたが、たしかに「日常の謎」連作で、俳句を扱っていることから北村と同じように文芸ミステリの側面も持っているのだけれど、これは北村薫というより、むしろあからさまに京極夏彦だろう*2。あるいは初期の高田崇史か。ただ、京極が妖怪と事件を結びつけたように、あるいは高田が歴史の謎と殺人事件を結びつけたようには、俳句の理念と謎の結びつけは成功しておらず、また構成もつたなく感じられ、楽しめたとは言い難い。まだまだ習作の域を出ていないという印象だが、扱っている素材は面白いので、もう一冊くらいは読んでみたいとも思われた。
なお、筆致から考えて、たぶん著者は中年男性だと思う。地の文で一箇所「みたような」という言い回しが使用されていて、これはさすがに若い人は知らないか、知っていても使わないだろう*3。
あと、俳句とミステリを結びつけた先例では、やはりなんと言っても笹沢左保の《俳人一茶捕物帳》シリーズか。松本清張にも作例はいくつかあるし、『俳句殺人事件』というアンソロジーも光文社文庫から刊行されていましたね。