ロサンゼルスBB連続殺人事件

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

ノベライズじゃなくて二次創作っていうんじゃないか、こういうの?
ということはさておき、他人が考案した設定とキャラクターを使用して小説を書くということはある意味他流試合のようなものだろう。それでも独立した一冊の作品として仕上げられるかお手並み拝見、という気持ちで読み始めたが、結論から言うと「さすがは西尾維新」と感心した。
『DEATH NOTE』は一巻しか読んだことがないので設定くらいしか知らず、本書がノベライズとして優れているかどうかはよく判らないけれど、ミステリとしてはなかなかのものだと思う。笑いを取ろうとしている部分が如何にもマンガだが、マンガのノベライズだから当たり前かと思いつつのんびり読み進めていたら、マンガ的なお約束事、つまり突っ込みを入れるのが野暮になるような設定のマンガ的不自然さを、結末で鮮やかにひっくり返してみせる豪腕にのけぞらされた。名探偵Lは完全な記号として描かれており、「そうかあマンガの名探偵は小説にするとこんなに記号的になるのか」と思ったが、本書ではその点にさえも意味がある(多分に深読みかも知れないが)。正直、三分の二くらいまではミステリというより判じ物につき合わされているような気がしていたが、最後まで読んで感服した。やはり才能のあるひとは違う。
なお、真相に関しては、ちょっと連城三紀彦っぽい印象を残すところも面白かった。