カクレカラクリ

カクレカラクリ?An Automaton in Long Sleep

カクレカラクリ?An Automaton in Long Sleep

素朴な読み物。
田舎の旧家に泊めてもらった男子大学生二人が、その村に隠れ絡繰りの言い伝えがあることを知って……という内容。殺人事件などは一切起こらず、主人公たちが淡々と絡繰り仕掛けを探すだけの、のんびりしたお話となっている。映像化を前提とした作品なので絡繰りは大規模なものではないと簡単に想像がつき、実際に結末で明かされる絡繰りは小規模なものだ。なので本書をミステリとして読むとあまりの淡白さに呆れる読者もいそうだが、しかし田舎を舞台としたひと夏の(ちょっとした)宝探し物語として読むと素朴な面白さを味わえる。どちらかといえばジュヴナイル的な味わいの長編というところか。キャラクターも適度にユニークだし、この作者らしく作品の雰囲気も相変わらず独特なので、最後まで飽きずに読めた。ただ、宝の正体はあまりに個人的な趣味に走りすぎていて、ちょっと苦笑させられたが。