犬神家の一族
- 作者: 横溝正史
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1972/06/12
- メディア: 文庫
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昨日公開された市川崑監督のリメイク版を早速観て来た。久々に日本映画の大作を観た気分になったが、それ以上に石坂浩二の金田一映画を劇場で見ることができて嬉しかった。すっかり楽しい気分になって原作を再読。
横溝作品はたしかに考え抜かれているが、堅牢な構成美を誇るという印象ではなく、謎を追いかけていったらいつの間にかとんでもないところに辿り着いていた、という感じを受ける。おそらくこれは偶然多用のプロットから来るもので、他の作家が行ったら「ありえない」の一言で片づけられてしまいそうだが、横溝は偶然を多用しても本格ミステリとして作品をきちんと成立させてしまうのだ。横溝作品の中でも『犬神家』と『獄門島』はとりわけ偶然の比率が高く、この巨匠の「偶然」使いの達者さは目を瞠るものがある*1。
それはさておきこの『犬神家』、何度も映画やテレビドラマになっているが、ほとんどのヴァージョンで採用されていない(と思われる)部分が存在する*2ので、未読の方はお読みになると新しい発見があるだろう。