君のための物語

君のための物語 (電撃文庫)

君のための物語 (電撃文庫)

第14回電撃小説大賞金賞受賞作。
19世紀末から20世紀初頭のロンドンがモデルと思しい街を舞台に展開される、人ではない美青年と、作家志望の「私」の物語。設定が好みなので手に取ったものの、ほとんど期待していなかったのだが、予想に反してこれはちょっとビターな要素も含まれた佳作だった。人外美青年が、天使でも悪魔でも神でも化物でもなく(いや、作中では「化物」と言われたりもするけれど)、完全無欠というよりは、ある意味「こうなるはずじゃなかった」という存在なのが面白い。性格設定もなかなか魅力的で、これは続刊が出たら読んでみよう。
なお、作中で主人公の青年が「怪奇探偵」という短編を執筆していて、思わず「『幽霊狩人カーナッキ』みたいなものか?」と考えてしまった。懐かしいなあ。